【R8.8.25フリーランス法】厚生労働省「就業環境整備のポイント」を公表

今回の公表ページでは、都道府県労働局による指導等の事例を踏まえ、フリーランスに業務を委託する事業者が整備すべきハラスメント相談体制、契約解除等の事前予告、募集情報の表示などについて、具体的な注意点が示されています。
※本法は業種を限定していません。
芸能・文化芸術、映画・映像、アニメ、漫画、舞台、音楽、イベント、デザイン、出版をはじめ、あらゆる分野でフリーランスに業務を委託する事業者・団体が確認すべき内容です。
非営利団体も法第14条に基づく対応が必要
厚生労働省は、今回の公表ページにおいて、次の点を明記しています。
非営利団体でも、事業活動を行う場合には、法の適用対象となり、法第14条に基づく対応が必要です。
フリーランスに対するハラスメント防止方針や相談窓口を整備していなかった非営利団体に対し、労働局がハラスメント対策に係る体制を整備し、周知するよう助言した事例も公表されています。
これは、営利企業だけを対象とした制度ではないことを改めて明確にしたものです。公益社団法人・公益財団法人、一般社団法人・一般財団法人、NPO法人、学校法人、社会福祉法人のほか、法人である業界団体・職能団体なども、要件を満たす場合には対象となります。

「従業員を使用していない法人」も対象となる場合があります。
フリーランスに業務を委託する法人は、従業員を使用していなくても、2人以上の役員がいれば「特定業務委託事業者」に該当し得ます。理事だけでなく、取締役、執行役、監事、監査役なども役員に含まれます。
労働局の指導で最も多かったのはハラスメント対策
厚生労働省によると、都道府県労働局における法施行状況では、法第14条に定めるハラスメント対策に係る体制整備義務の違反に関する指導が最も多くなっています。
発注事業者には、主に次の対応が求められます。
- ハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確にし、業務委託に関わる労働者に周知・啓発すること
- フリーランスが利用できる相談窓口を整備し、その利用方法を周知すること
- 相談があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認すること
- 被害者への配慮、行為者への対応、再発防止措置を行うこと
- 相談者等のプライバシーを保護すること
- 相談や相談対応への協力を理由として不利益な取扱いをしないこと
従業員向けの相談窓口が設けられていても、フリーランスが利用できることを明示・周知していなければ、必要な体制を整備したことにならない場合があります。 出典:厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)のあらまし【就業環境の整備関係】」16頁を一部加工
娯楽業におけるハラスメント対応事例も公表
公表ページでは、フリーランスのカメラマンやスタイリストなどに業務を委託する娯楽業の事業者が、パワーハラスメントの相談を受けて事実関係を調査するなどの必要な対応をしていたものの、その後の再発防止措置を講じていなかったため、労働局から再発防止措置を講ずるよう助言を受けた事例も紹介されています。
ハラスメント相談窓口は、単に設置するだけでは足りません。相談受付、事実確認、被害者への配慮、行為者への対応、再発防止までを継続して運用できる体制が必要です。あわせて、相談記録や個人情報を適切に管理することも重要です。
契約解除・募集情報についても確認が必要です
6か月以上継続する業務委託の解除・不更新
一定の例外を除き、6か月以上継続する業務委託契約を解除または更新しない場合には、原則として少なくとも30日前までに、書面や電子メールなどで予告する必要があります。
また、フリーランスから理由の開示を求められた場合には、原則として書面や電子メールなどで理由を示す必要があります。
募集情報は正確かつ最新の内容に
広告やウェブサイト、SNS等でフリーランスを募集する場合は、募集情報を正確かつ最新の内容に保つ必要があります。雇用契約の募集と業務委託の募集を混同させる表示にも注意が必要です。
当協会の取組と相談窓口のご案内
一般社団法人日本芸能従事者協会では、芸能・文化芸術、映画・映像、アニメ、漫画、舞台、音楽、イベントなどに関わる会員の実演家、スタッフ、キャスト、クリエイターからのハラスメント相談を受け付けています。
また、団体、制作会社、製作委員会、劇団、映画祭・芸術祭、教育機関、業界団体、職能団体等を対象に、スタッフ・キャスト・クリエイターが利用できる外部相談窓口の設置・運営支援、ハラスメント防止研修、体制整備の支援についてのご相談も承っています。
当協会は2022年から、文化芸術・制作現場の特性を踏まえたハラスメント防止研修や相談対応に取り組み、産業医、心理職、社会保険労務士、ハラスメント相談員等と連携した支援体制を整備しています。
当協会自身についても、フリーランスへ業務を委託する団体として、必要な相談体制や運用を改めて確認し、継続的な見直しを行ってまいります。
※当協会の「ハラスメント110番」は、当事者団体が実施する会員向け相談支援です。発注事業者が法第14条に基づいて設置する相談窓口とは位置付けが異なります。団体・事業者向けの外部相談窓口については、別途ご相談ください。
会員向け相談窓口「ハラスメント110番」を利用する
団体・事業者向け相談窓口について問い合わせる
厚生労働省の公表資料
- 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法に基づく就業環境整備のポイント」
- 厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)のあらまし【就業環境の整備関係】」(PDF)
※本記事は厚生労働省の公表資料に基づく一般的な情報提供です。個別案件の法的判断については、厚生労働省、都道府県労働局または専門家へご確認ください。

