【お知らせ】厚生労働省/労働安全衛生法関係の改正についての通知(基発330第1号 令和8年4月1日施行)

会員各位

令令和8年3月30日付で、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長より、当協会宛に、個人事業者等に関する労働安全衛生法関係の改正について、会員への周知協力依頼がありました。 

令和8年4月1日施行の改正により、労働者と同一の場所で作業に従事する個人事業者等についても、安全衛生上の措置の対象となります。これに伴い、元方事業者や注文者による安全配慮の対象に含まれるとともに、作業に従事する側にも必要な指示の遵守および労働災害防止措置への協力が求められます。 

また、作業に関係する法令違反がある場合には申告制度の対象となり、申告を理由とする取引停止等の不利益取扱いは禁止されています。 

会員の皆さまにおかれましては、現場での安全確保および適切な対応にご留意ください。

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基 安 安 発 0 3 3 0 第 4 号
令 和 8 年 3 月 3 0 日

一 般 社 団 法 人 日 本 芸 能 従 事 者 協 会 代 表 理 事 殿



厚 生 労 働 省 労 働 基 準 局
安 全 衛 生 部 安 全 課 長
( 公 印 省 略 )

労 働 安 全 衛 生 法 施 行 令 及 び 労 働 安 全 衛 生 法 関 係 手 数 料 の一 部 を 改 正 す る 政 令 等 ( 個 人 事 業 者 等 関 係 ) の 施 行 に つ い て

日頃より、労働安全衛生行政の推進に御理解、協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(和7年法律第33号)については、令和7年5月14日に公布され、今般、改正法の一部が和8年4月1日から施行されることに伴い、労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料の一部を改正する政令(和7年政令第361号。以下「整備政令」という。)が和7年10月31日に、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係者の整備等に関する省令(令和8年厚生労働省令第3号。以下「整備」という。)が令和8年1月20日に、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係告示の整理等に関する告示(令和8年厚生労働省告示第44号。以下「理告示」という。)が令和8年2月20日にそれぞれ公布され、いずれも令和8年4月1日に施行又は適用されることとなっています。
これを踏まえ、改正法、備政令、整備省令及び整理告示のうち、個人事業者等関係部分について、今回の改正に係る趣旨及び考え方並びに措置義務主体が講ずべき具体的実施事項等を整理した施行通達を、別添のとおり作成しました。
つきましては、貴団体におかれましても、改正法等の内容について理解いただくとともに、会員の皆様等において適切な対応が図られるよう、周知に御協力くださいますようお願い申し上げます。

基 発 0330第 1 号
令和8年3月30日


都道府県労働局長 殿


厚生労働省労働基準局長
( 公 印 省 略 )



労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について


労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号。以下「改正法」という。)については、令和7年5月14日に公布され、その主たる内容については、同日付け基発0514第1号をもって通達したところであるが、今般、改正法の一部が令和8年4月1日から施行されることに伴い、労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令(令和7年政令第361号。以下「整備政令」という。)が令和7年10月31日に、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和8年厚生労働省令第3号。以下「整備省令」という。)が令和8年1月20日に、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係告示の整理等に関する告示(令和8年厚生労働省告示第44号。以下「整理告示」という。)が令和8年2月20日にそれぞれ公布され、いずれも令和8年4月1日に施行又は適用されることとなっている。ついては、改正法、整備政令、整備省令及び整理告示のうち、個人事業者等関係部分について、今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、特に下記の事項に留意して、その運用に遺漏のないようにされたい。




第1 改正の要点
Ⅰ 改正法関係
1 労働災害防止に関する措置への協力(労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第4条関係)
本条に基づく労働者の労働災害防止のための必要な事項の遵守のほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置への協力の努力義務について、労働者と同一の場所で仕事の作業に従事する労働者以外の者にも課すこととしたこと。
2 労働災害防止計画に係る勧告等(安衛法第9条関係)
個人事業者(事業を行う者で労働者を使用しないものをいう。以下同じ。)やその団体についても、本条による勧告又は要請の対象に含めることとしたこと。
3 元方事業者が講ずる措置の対象者(安衛法第15条第1項及び第3項並びに安衛法第15条の3関係)
安衛法第15条第1項の特定元方事業者が、統括安全衛生責任者に行わせる統括管理の対象について、特定元方事業者又は関係請負人の労働者に加え、これらに係る労働者以外の作業従事者(事業を行う者が行う仕事の作業に従事する者をいう。以下同じ。)を含めることとしたこと。建設業の元方事業者が、店社安全衛生管理者に行わせる統括管理の対象についても同様であること。
4 労働者以外の作業従事者に対する救護に係る二次災害の防止(安衛法第25条の2関係)
爆発、火災等が生じた場合の救護に伴う二次災害を防止するため、ずい道等の建設の仕事等を行う事業者は、労働者に加え、労働者以外の作業従事者を救護する場合にも備え、必要な事前の措置を講じなければならないものとしたこと。
5 事業者が講ずる措置に応じて労働者及び労働者以外の作業従事者が講ずべき措置(安衛法第26条、第27条関係)
建設アスベスト国家賠償訴訟最高裁判決(令和3年5月。以下「最高裁判決」という。)等を踏まえ、安衛法第20条から第25条まで及び第25条の2第1項に基づき事業者が講ずる措置への遵守義務を、労働者以外の作業従事者にも課すこととしたこと。
6 元方事業者(安衛法第29条~第30条の3関係)又は注文者(安衛法第31条~第31条の3関係)が措置を講ずべき場面の拡充
元方事業者又は注文者が講ずべき措置の対象に、第1の3と同様の観点から、労働者と同一の場所で仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者を含めることとしたこと。これにより、労働者に加え、労働者以外の作業従事者が建設業等の仕事の作業を行う場合も、安衛法第30条に基づく措置義務の対象となるなど、元方事業者又は注文者が講ずべき措置の対象範囲の拡充が図られたものであること。なお、安衛法第31条の2については改正を行っていないが、注文者が個人事業者に対して仕事を注文する場合も、当該個人事業者が更に労働者を使用する事業者に仕事を請負わせる可能性があることから、注文者は、当該個人事業者に対し、同条に基づく措置を講じる義務があることに留意すること。
7 注文者による違法な指示の禁止(安衛法第31条の4関係)
注文者による違法な指示の禁止について、その適用の場面を、注文者の指示に従って請負人に係る作業従事者が作業を行った場合に拡大することとしたこと。
8 元方事業者等が講ずる措置の遵守等(安衛法第32条関係)
元方事業者等が講ずる措置の対象拡大に伴い、作業従事者に係る請負人は、当該措置に応じた必要な措置を講じ、元方事業者等の指示に従わなければならないこととしたこと。また、作業従事者は、当該措置の実施を確保するため、必要な事項を守り、元方事業者等の指示に従わなければならないこととしたこと。
9 機械等貸与者の講ずべき措置(安衛法第33条関係)
機械等を貸与する者が当該機械等による労働災害を防止するために必要な措置を講じなければならない場面について、事業者に貸与する場合だけでなく、個人事業者も含めた事業を行う者に貸与する場合としたこと。
10 建築物貸与者の講ずべき措置(安衛法第34条関係)
建築物を貸与する者が当該建築物による労働災害を防止するために必要な措置を講じなければならない場面について、事業者に貸与する場合だけでなく、個人事業者も含めた事業を行う者に貸与するとき(一の事業者若しくは個人事業者に貸与するとき、又は二以上の個人事業者のみに貸与するときを除く。)としたこと。
11 作業従事者による申告(安衛法第97条関係)
労働者以外の作業従事者にも、事業場において、当該作業従事者の作業に関係する安衛法又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長等に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができることとし、注文者、機械等貸与者その他作業従事者に係る事業を行う者の契約の相手方は、当該申告を理由として、当該事業を行う者に対し、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならないこととしたこと。
12 都道府県労働局長及び労働基準監督署長の命令等(安衛法第98条及び第99条関係)
都道府県労働局長又は労働基準監督署長が労働災害を防止するために事業者等に対して行う使用停止等の命令について、その実効性を確保する観点から行う命令の対象に、労働者以外の作業従事者及び機械等の貸与を受けている者を加えるとともに、安衛法第99条第1項の命令の対象を、個人事業者を含む「事業を行う者」に拡大し、併せて同条第2項に基づき必要な事項を命ずることができる対象に労働者以外の作業従事者を加えたものであること。

Ⅱ 整備政令関係(労働安全衛生法施行令関係)
1 統括安全衛生責任者等の選任に係る基準の見直し(労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「安衛令」という。)第7条第2項関係)
統括安全衛生責任者等の選任を要しない事業場の基準を、労働者の数ではなく、作業従事者の数としたこと。
2 機械等貸与者が講ずべき措置に係る対象機械等の拡大(安衛令第10条関係)
機械等貸与者が労働災害を防止するために、必要な措置を講じなければならない機械等に、フォークリフト、ショベルローダー及びフォークローダーを加えることとしたこと。
3 建築物貸与者が講ずべき措置に係る対象建築物の拡大(安衛令第11条関係)
建築物貸与者が労働災害を防止するために、必要な措置を講じなければならない建築物について、事務所又は工場の用に供される建築物から、事務所、工場その他の事業の用に供される建築物に対象を拡大することとしたこと。

Ⅲ 整備省令関係((労働安全衛生規則、ボイラー及び圧力容器安全規則、クレーン等安全規則、 ゴンドラ安全規則、 石綿障害予防規則、 有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、高気圧作業安全衛生規則、電離放射線障害防止規則、酸素欠乏症等防止規則、労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令、粉じん障害防止規則、東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則関係)
1 改正法により改正された規定に基づく委任省令に係る規定の一部改正
(1)改正法により、安衛法第 30 条等に基づき元方事業者等が実施すべき措置の対象が「労働者」から「作業従事者」に拡大されたことを踏まえ、「関係請負人の労働者」とあるのを、「関係請負人に係る作業従事者」と改める等の改正を行ったこと。(労働安全衛生規則((昭和47年労働省令第113号。以下「安衛則」という。)第18 条の5等関係)
(2)改正法により、機械等貸与者が機械等を個人事業者に貸与した場合についても措置義務の対象とされたことを踏まえ、「他の事業者に貸与」とあるのを、「事業を行う者に貸与」と改める等の改正を行ったこと。(安衛則第665条等関係)
(3)改正法により、建築物貸与者が建築物を「個人事業者」に貸与した場合についても措置義務の対象とされたことを踏まえ、「貸与を受けた事業者」とあるのを、「貸与を受けた事業を行う者」と改める等の改正を行ったこと。 (安衛則第 671条等関係)
2 最高裁判決を踏まえた改正省令((令和4年厚生労働省令第 82号及び令和6年厚生労働省令第80号。以下「最高裁判決を踏まえた改正省令」 という。 )
に係る規定の一部改正
(1) 改正法により、「事業を行う者が行う仕事の作業に従事する者」 として、「作業従事者」が新たに位置付けられたことを踏まえ、 「作業に従事する
者」を「作業従事者」と改めたこと。 (安衛則第24 条の6等)
(2)改正法により、労働者以外の作業従事者が労働者と同一の場所において仕事の作業を行う場合に、保護又は規制の対象とされたことを踏まえ、特定の作業場において、 労働者以外の作業従事者が危険が発生するおそれのある箇所に立ち入ることを禁止する措置等について、 その場面を明確化したこと。 (安衛則第 151条の50等)
(3)改正法により、「請負人」等について、事業主体と作業主体を明確に書き分けたことを踏まえ、作業主体を指す「請負人」を「請負人に係る作業従事者」に改めること。 (鉛中毒予防規則(昭和 47 年労働省令第 37 号)第32条等関係)
3 「今後の安全衛生対策について」(建議)(令和7年1月17日付け労審発第1650号)を踏まえた対策の強化のための一部改正
建築物貸与者が貸与する建築物のうち、 貸与を受けた二以上の事業を行う者に専ら使用させる部分以外の部分について、 労働災害防止に必要な措置を新たに規定したこと。 (安衛則第679条等)
4 その他所要の改正
安衛法第30 条及び第32条に基づき、特定元方事業者や関係請負人が講ずべき措置を規定している安衛則第 635 条等について、安衛法第 30 条第2項5又は第3項に基づき指名を受けた事業者や、指名を受けた事業者以外の請負人が講ずべき措置が明確となるよう、準用規定を設ける等所要の改正を行ったこと。また、安衛法第30条の2第2項及び第30条の3第2項によって準用する第 30 条第2項に基づく指名、第 30 条の2第3項及び第 30 条の3第3項に基づく指名についても同様に所要の改正を行ったこと。 ((安衛則第642条の4、第643 条の6の2、第643条の8等関係)

Ⅳ 整理等告示
労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令((昭和 47 年労働省令第 44 号)第 68 条第1項第3号の規定をⅢの1(1)及び4のとおり改正したことに伴い、 労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令第 68 条第1項第3号の規定に基づき厚生労働大臣が定める労働災害防止業務従事者講習の講習科目の範囲及び時間(平成 21 年厚生労働省告示第 143号)においても同様の改正を行ったこと。


第2 細部事項
1 共通事項
(1)個人事業者の範囲
① 他法令との定義の違い
他法令では、事業を行う者が個人事業者に該当するか否かは、法人か否かで判断される場合が多いが、安衛法において「個人事業者」とは、「事業を行う者であって、労働者を使用しないもの」と定義されており、法人であるか否かは問わず、労働者を使用するか否かで判断することとなること。これらの関係を図示すれば次のとおりとなること。
② 特定受託事業者への適用
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)に基づく「特定受託事業者」は、業務委託の相手方である事業者であって、当該業務を行うに当たり従業員を使用しないものとされているため、基本的には、安衛法上の「個人事業者」に該当し、同法に基づく「特定受託業務従事者」も安衛法上の「個人事業者である作業従事者」に該当するため、労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する場合には、安衛法の各種措置が適用されることとなること。ただし、「特定受託事業者」の要件にある「従業員」の範囲は、「週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用が見込まれる労働者」とされているため、これに該当しない「従業員」を使用している場合には、「特定受託事業者」には該当するが、安衛法上の「個人事業者」には該当せず、「事業者(事業を行う者で労働者を使用するもの)」に該当することとなる点に留意すること。
③ 家内労働者及び補助者への適用
家内労働法(昭和45年法律第60号)に基づく「家内労働者」は、「物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするもの」と、「補助者」は、「家内労働者の同居の親族であつて、当該家内労働者の従事する業務を補助する者」と定義されているが、安衛法上、適用除外の対象とはされていないため、家内労働者は臨時的に労働者を使用する場合を除き、原則「個人事業者」に該当し、家内労働者及び補助者は「作業従事者」に該当する。このため、労働者と同一の場所においてこれらの者が仕事の作業に従事する場合には、家内労働法と安衛法の各種規定が重畳して適用されることとなること。
家内労働法と安衛法の適用関係については、それぞれの法令に基づく規制内容や規制の水準に応じて以下のような関係となること。
ア ある事項について同様の目的から両法に基づく規定が定められている場合、水準が高い方の規定に基づく措置を講じれば、もう一方の規定に基づく措置を実施したことになる(同一水準の場合も同様)。
イ 両法に基づき類似の規定が定められているが趣旨・目的が異なる場合、それぞれの規定に基づく措置を実施する必要がある。
ウ 一方の法律のみに規定が定められている場合、当該法律の規定に基づく措置を実施する必要がある。
なお、記の第1のⅠの11に掲げる作業従事者による申告制度については、上記イに該当するものであり、家内労働法第32条第1項は、委託者による同法又は同法に基づく命令への違反について、家内労働者又は補助者に申告権を認めるものであり、家内労働関係における適正な労働条件の確保を目的とする制度である一方、安衛法第97条第1項は、作業従事者に対し、事業場における同法又はこれに基づく命令への違反について申告し、是正を求めることを認めるものであり、労働災害防止を目的とする制度であることから、家内労働法及び労働安全衛生法の双方が適用される場合には、いずれか一方の申告制度の行使をもって他方の申告制度の行使が排除されるものではないこと。当該場合においては、是正を求める違反内容が、家内労働法に基づくものか、労働安全衛生法に基づくものかに応じて、それぞれの申告制度が適用されるものであり、必要に応じて、両法に基づく申告が行われることもあり得るものであること。
(2)「労働者と同一の場所」の範囲
改正法では、個人事業者等が措置を講ずべき場面や労働者以外の作業従事者が事業者、注文者等の講ずる措置の保護対象となる場面は、労働者以外の作業従事者が労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する場合に限定されている。
これは、労働者以外の作業従事者が当該場所において作業を行うことにより、労働者に危害を及ぼすおそれがあること等に着目し、既存の労働災害防止対策に、労働者と同じ場所で作業に従事する労働者以外の作業従事者をも取り込み、労働者のみならず、労働者以外の作業従事者による災害の防止を図ることとしたものである。
そのため、ここでいう「労働者と同一の場所」とは、当該場所に存在する危険性又は有害性等により、労働者以外の作業従事者と労働者が共通して、危険又は健康障害を生ずるおそれを受ける状態にある場所の範囲をいうものである。その判断は、屋内外を問わず、原則として、物理的に同一の空間において、労働者及び労働者以外の作業従事者の作業が同時に行われる場所をいうものであり、典型的には、労働者による作業が通常行われている作業場が対象になるものであること。
ただし、「労働者と同一の場所」の範囲は、必ずしも同一の区画又は階層に限定されるものではなく、当該場所で行われる作業が周囲に及ぼす影響や、それぞれの規定が目的とする保護法益に照らし、個別具体的に判断されるべきものであること。なお、当該影響が物理的又は時間的に遮断されている場合についてまで対象とするものではないこと。一方、通常は労働者が作業を行っているが、一時的に作業場所に不在であることのみをもって、直ちに「労働者と同一の場所」に該当しないと判断すべきものではないこと。なお、法第15条等における「一の場所」については、その範囲についての考え方が異なるものであること。例えば、次のような場所が「労働者と同一の場所」に含まれること。
① 同一空間で同時に作業が行われる場所
⚫ 物流倉庫の荷捌き場において、労働者と労働者以外の作業従事者により、同一のフォークリフト作業区域内で荷役作業が同時に行われる場所
⚫ 工場の製造ラインにおいて、労働者と労働者以外の作業従事者により、同一の建屋内で同一設備を用いて同時に作業が行われる場所
② 同一空間を超えて、危険性又は有害性等が及ぶおそれのある作業が行われる場所(同一の敷地内であっても、完全に区画された別棟での作業など、物理的に遮断され、危険性又は有害性等が及ぶおそれのない作業が行われる場所を除く。)
⚫ 同一建物内の異なる階層又は区画で作業している場合であって、一の階層又は区画で発生した爆発、火災、有機溶剤、粉じん等が他の階層又は区画に影響を及ぼすおそれのある作業が行われる場所
⚫ 林業の伐採現場において、労働者が伐倒作業を行う区域と、労働者以外の作業従事者が集材又は造材作業を行う区域が区画上は分かれているものの、伐倒木の倒伏方向、転落木、飛散物又は重機の旋回範囲等によっては、危険を及ぼすおそれのある作業が行われる場所
③ 労働者と同時に作業を行うものではないが、時間的に近接し、危険性又は有害性等が残存するおそれのある作業が行われる場所(作業と作業の間に十分な時間が空いており、時間的に遮断され、危険性又は有害性等が及ぶおそれのない作業が行われる場所を除く。)
⚫ 労働者以外の作業従事者が有機溶剤を使用し退出した後、十分な換気がなされないまま、同一場所において労働者による内装作業が行われる場所
⚫ 労働者以外の作業従事者が危険物の取扱作業の終了後、退出し、爆発性雰囲気が残存しているおそれがある状態で、労働者による他の作業が行われる場所
(3)労働者以外の作業従事者が「労働者と同一の場所」以外の場所で就業する際の改正法に基づく措置と同様の措置の推奨
個人事業者等が、安衛法上の措置を講ずべき場面は、労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する場合に限定されているため、労働者以外の作業従事者が、労働者と同一の場所以外の場所において仕事の作業に従事する場合には、当該就業については、改正後の安衛法に基づく措置義務又は遵守義務が適用されないこと。しかしながら、労働者以外の作業従事者が労働者と同一の場所以外で就業する場合であっても、作業の内容、使用する機械、取扱う物質等によっては、労働者以外の作業従事者自身や、労働者以外の者であって、周囲で作業を行う作業従事者が被災する災害が発生するおそれがあることに変わりはないほか、作業の進捗や作業内容の変更等により、急遽、労働者と同一の場所で作業を行う必要が生ずることもある。
このため、労働者以外の作業従事者が労働者と同一の場所以外で就業する場合においても、事業者、注文者その他関係者においては、改正法に基づき労働者以外の作業従事者が労働者と同一の場所で就業する場合に講ずることとされている措置の趣旨を踏まえ、当該就業実態に応じて、可能な範囲で同様の措置を講じておくことが望ましいこと。
(4)「作業従事者」の範囲
「作業従事者」とは、作業の内容如何にかかわらず、事業を行う者が行う仕事の作業(危険有害な作業に限らず、現場監督、記録のための写真撮影、荷物の搬入等も含まれる。)に従事する者をいうこと。「作業従事者」に該当するか否かの判断に当たっては、契約形式等にかかわらず、実際に当該現場において仕事の作業を行っているかどうかを基準として、個別具体的に判断されるものである。例えば、次に掲げる者が含まれ、下図のとおりであること。
① 事業者(当該事業者が元方事業者、関係請負人等に当たる場合を含む。以下この項目において同じ。)の労働者
② 事業者又は個人事業者(当該個人事業者が元方事業者、関係請負人等に当たる場合を含む。以下この項目において同じ。)が法人である場合の代表者又は役員
③ 法人でない事業者又は個人事業者のいわゆる個人事業主
④ 個人事業者の家族従事者
一方で、見学者等当該場所に立ち入るものの、作業は行わないものは、通常は作業従事者には該当しないことに留意すること。また、「A(※Aは事業を行う者である。)に係る作業従事者」とは、当該Aが行う事業の仕事の作業に従事する者をいい、代表者、役員、労働者等の属性は問わないものであること。

2 最高裁判決を踏まえた改正省令による罰則の適用(安衛法第26条関係)及び労働災害防止に関する措置への協力(安衛法第4条関係)
最高裁判決を踏まえた改正省令により、作業従事者は、事業者が立入禁止措置等を講じた際に当該措置を遵守する義務が課されたが、安衛法第26条の改正により、労働者と同一の場所において仕事の作業に従事する労働者以外の作業従事者も同条の適用対象とされたことから、令和8年4月1日以降は、労働者以外の作業従事者にも同条違反に係る罰則が適用されるものであること。
なお、最高裁判決を踏まえた改正省令に係る規定について、労働者と同一の場所に適用されることを明確化する趣旨での改正を行っているが、当該改正は、改正前と改正後とで適用範囲を変える趣旨のものではないこと。
また、上記遵守義務のほか、改正後の安衛法第4条により、労働者及び労働者以外の者で労働者と同一の場所で仕事の作業に従事するものは、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するよう努めなければならないこととされている。
最高裁判決を踏まえた改正省令では、事業者が特定の危険有害業務又は作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、必要な保護具を使用する必要があること等を周知させなければならないこととされた。このため、事業者から請負人が保護具の使用等について周知を受けた場合には、当該請負人に係る作業従事者は、安衛法第4条に基づく労働災害防止に関する措置への協力の一環として、事業者から請負人に対して周知された内容を確実に実施することが重要であること。

3 機械等貸与者等の講ずべき措置(安衛法第33条関係)
(1)機械等貸与者が講ずべき措置に係る対象機械等の拡大について(安衛令第10条関係)
近年の作業実態や労働災害の発生状況を踏まえ、従来の対象機械等と同様に、機械等貸与者がリースすることが一般的で、不特定の場所に自走する機械であって、運転の業務に際して必要な資格等が定められ、一定の労働災害が発生しているものとして、フォークリフト、ショベルローダー及びフォークローダーを追加するものであること。
(2)「労働者と同一の場所」を構成要件として規定しないことについての考え方
安衛法第33条第1項に基づく措置義務については、改正法の他の規定と異なり、「労働者と同一の場所」を構成要件として規定していないが、これは、機械等貸与者が貸与をする段階において、貸与を受ける者が事業者であるか個人事業者であるか、個人事業者である場合には貸与した機械等12を労働者と同一の場所で使用するか否かを確認することは困難であり、当該確認のための負担と、同項に基づき機械等貸与者が講ずべき措置による負担を比較考慮し、貸与された機械等による労働災害防止に万全を期すため、事業を行う者に機械等を貸与する場合には、一律に必要な措置の実施を義務付けることとしたものであること。
(3)貸与先で機械等を操作する者が「その使用する労働者でないとき」に該当する範囲
安衛法第33条第2項における「その使用する労働者でないとき」とは、当該機械等の貸与を受けた事業を行う者と操作者との間に労働契約関係がなく、指揮命令下にない場合をいうものをいい、同条第1項の改正により、貸与先が個人事業者を含めた事業を行う者に広がったことに伴い、対象となる者として、例えば、次に掲げる者が新たに含まれることとなったこと。
① 貸与を受けた事業を行う者の関係請負人かつ個人事業者である作業従事者
② 貸与を受けた個人事業者である作業従事者
③ 貸与を受けた個人事業者の家族従事者
(4)機械等の貸与を受けた個人事業者である作業従事者が当該機械等を操作する場合における資格又は技能の「確認」及び必要事項の「通知」の取扱い(安衛則第667条関係)
安衛則第667条は、機械等貸与者から貸与された機械等について、当該機械等を操作する者が、貸与を受けた者の使用する労働者でない場合における安全確保のため、機械等の貸与を受けた者に対し、資格又は技能の確認及び必要事項の通知を求めるものであること。上記(3)③の機械等の貸与を受けた個人事業者である作業従事者が当該機械等を操作する場合についても、「その使用する労働者でない者」に該当するものの、貸与を受けた者と操作する者が同一人物となることから、自身が資格又は技能を有することを確認・記録することをもって、同条の確認及び通知がなされたものとみなすものであること。

4 建築物貸与者の講ずべき措置(安衛法第34条関係)
(1)建築物貸与者が講ずべき措置の対象となる建築物の範囲の拡大について(安衛令第11条関係)
建築物貸与者が講ずべき措置の対象となる建築物の範囲について、従来は、事務所又は工場の用に供される建築物に限定されていたものの、近年の事業活動の多様化に伴い、事務所又は工場以外の用途に供される建築物においても、建築物等の管理に起因する労働災害が発生している実態があることから、事業の用に供されるあらゆる建築物を対象とするものであること。
(2)建築物に該当しないものを貸与する場合の取扱い
法第34条に規定する「建築物」とは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号の「建築物」に該当するものであり、例えば、屋外駐車場、屋外資材置場その他の施設や工作物で、「屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類するものを含む。)」に該当しないものについては、本条にいう建築物には該当しないことから、これらの施設等を貸与する場合については、法第34条に基づく建築物貸与者としての義務は、生じないものである。
しかしながら、これらの施設であっても、作業従事者が作業を行うことにより、労働者に危険を及ぼすおそれがあることから、労働災害防止の観点から、貸与者において、当該施設の構造等や使用実態を踏まえ、労働災害防止上必要な対応を検討の上、本条に基づく措置に準じた対応を行うことが望ましいこと。
(3)事業の用に供する建築物を「二以上の個人事業者のみに」貸与する場合の取扱い
建築物を二以上の個人事業者のみに貸与する場合には、当該建築物で行われる事業に係る労働者が当該建築物に存在しないこととなり、法第34条に基づく措置が想定する「労働災害」の発生場面が認められないことから、結果として、本条に基づく具体的な措置義務は生じないものである。
しかしながら、この場合においても、二以上の事業を行う者が併存することにより、本条が適用される場合と同様の危険性又は有害性等が生じるおそれがあることから、建築物貸与者において、必要な対応を検討し、本条に基づく措置に準じた対応を行うことが望ましいこと。

5 申告制度(安衛法第97条関係)
(1)労働者以外の作業従事者による申告の対象となる労働安全衛生関係法令の範囲
労働者以外の作業従事者による申告の対象となる「事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるとき」とは、安衛法、安衛令、安衛則等の規定のうち、事業場において、当該申告者の作業に関係する規定に違反する事実があるときをいうこと。具体的には、次に掲げる規定に違反する事実について、申告の対象となるものであること。
① 元方事業者又は注文者が講ずべき措置に関する規定(安衛法第15条から第16条まで、第29条から第32条まで関係)
② 機械等貸与者又は建築物貸与者が講ずべき措置に関する規定(安衛法第33条及び第34条関係)
③ 事業者が講ずべき危険防止措置、安全装置、防護措置等に関する規定(安衛法第20条から第25条まで、第25条の2関係)
④ 災害報告に関する規定(報告を行ったことを理由とする不利益取扱いを禁止する規定を含む。)(安衛法第100条の2関係)
一方で、当該者が作業に従事する事業場とは無関係な事業場における違反の事実や、当該者の作業と直接の関係を有しない事項については、本条に基づく申告の対象とはならないものであるが、労働基準監督署等への相談や情報提供を妨げる趣旨ではないこと。
(2)不利益取扱いに該当する行為
安衛法第97条第3項に基づく「不利益な取扱い」には、契約の相手方が行う取引の停止に限られず、申告をしたこととの因果関係が認められ
る一切の不利益な取扱いが含まれるものであること。例えば、次に掲げるような行為は、「不利益な取扱い」に含まれること。
① 申告をした個人事業者との契約について、合理的な理由なく解除若しくは更新を拒否し、又は取引条件を不利に変更すること
② 自らが管理する作業場所への立入りを不当に制限し、又は作業の機会を与えないこと
③ 作業からの排除、過度な監視、嫌がらせ、威迫的な言動、就業環境を害すること等により、事実上作業を継続することを困難にすること
④ 契約解除を示唆し、又は将来の取引継続に不安を与える言動を行うこと
一方で、申告とは無関係な客観的理由に基づき行われる契約条件の見直しや業務内容の変更については、不利益取扱いに該当するものではなく、当該行為が申告を理由とするものか否かについては、行為の時期、内容、経緯等を踏まえ、個別具体的に判断すべきものであること。