芸能現場における熱中症から人を守る基本原則 障がいのある方編

一般社団法人日本芸能従事者協会

熱中症対策は「⾃⼰管理」に委ねるものではなく、現場で確実に運⽤される仕組みが必要です。無理をしないように伝え、体調不良を申し出やすい環境を整えてください。「やめてください」「休んでください」と周囲が声をかけられることが安全につながります。

事前にできる対策は確実に実施してください。プレクーリング(事前冷却)、冷却⽤品の準備、適切な⽔分・塩分補給(取りすぎに注意。⾼⾎圧等は 医師に相談)など、リスクが⾼い条件では⼀層の配慮が必要です。

⾼齢者や若年者など、発⾔しにくい⽴場への配慮も重要です。安全対策に要する費⽤や設備は必要経費として位置付け、現場全体で共有してください。

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聴覚障害のある⽅や、発声が困難な⽅にとって、熱中症対策における⼤きな課題の⼀つは、体調の異変を⾳声で伝えられないことです。

現場では「声かけ」による体調確認や、「助けを呼ぶ」ことが前提となっている場合が多く、これが熱中症の発⾒の遅れにつながるおそれがあります。

厚⽣労働省は、障害のある⼈の熱中症対策として、本⼈が体調の変化を伝えやすい環境づくりや、周囲が変化に気づく⼯夫の重要性を⽰しています。

これを踏まえ、本ガイドラインでは、状態を視覚的に共有できる、「熱中症状態表⽰カード」の活⽤を推奨します。

具体的には、熱中症の進⾏段階を「初期」「中期」「重症」の 3 段階に分け、それぞれを⾊で区別したカードを⽤意する⽅法です。

□ 初期(例:緑)
のどの渇き、軽いめまい、暑さによる違和感
→ ⽔分補給・休憩が必要

□ 中期(例:⻩)
頭痛、吐き気、強いだるさ、集中⼒の低下
→ 作業中断・冷却・周囲への共有が必要

□ 重症(例:⾚)
意識がもうろうとする、⽴てない、反応が鈍い
→ 直ちに医療対応が必要

カードは、⾸から下げる、ポケットに⼊れる、スマートフォン画⾯で表⽰するなど、本⼈が使いやすい形で運⽤してください。休憩を取りたいときや体調に異変を感じたときに、声を出さずにカードを提⽰できることで、周囲が状況を理解しやすくなります。

あらかじめ現場全体でカードの意味を共有しておくことで、合理的配慮としての安全確保につながります。

熱中症対策は、個⼈の注意だけでなく、伝えられる仕組みを整えることが不可⽋です。

⾳声に依存しない対策を取り⼊れることは、多様な働き⽅・参加の形を前提とした、安全な環境づくりの第⼀歩となるでしょう。

熱中症対策ポイント|危険度「見える化カード」

―誰でも使える、誰にでも伝えられる共通の熱中症対策 ―

趣旨

熱中症対策では、体調の異変を早く、確実に共有できることが重要です。

声を出しにくい、⾔い出しづらい、気づかれにくいといった事情は、誰にでも起こり得ます。厚⽣労働省も、障害のある⼈や⾼齢者の熱中症対策として、体調を伝えやすい⼯夫と早期対応の重要性を⽰しています。本ガイドラインでは、特定の⼈に限らず、誰でも使える視覚的な状態表⽰カードの活⽤を推奨します。

この⽅法は、児童、シニアの⽅、聴覚障害や発声が困難な⽅、体調不良を⾔い出しづらい状況にある⽅など、現場にいるすべての⼈に共通して有効な安全対策です。

【運⽤のポイント】

• 体調の段階を初期・中期・重症の 3 段階で⽰します
* ⾊と記号(⻘・○/⻩・△/⾚・×)を⽤い、⼀⽬で判断できるようにします
* 各⾃のスマートフォンに保存したり、休憩所や⽔分補給場所(いわゆるお茶セット)に、飲料や塩分補給⽤品とあわせてカードを設置します。
* 声を出さなくても、カードの提⽰で休憩や対応につなげます

【状態表⽰カードの例】

□ 初期(⻘・○)
□ 中期(⻩・△)
□ 重症(⾚・×)

めまいや⽴ちくらみがあり、少し不安を感じる
頭痛・吐き気などがあります。作業から離脱する必要があります
熱けいれん、体が熱いなど強い不調があります

【対応の考え⽅】

□ 軽症(⻘・◯)では涼しい場所で休み。⽔分・塩分等を補給
□ 中等症(⻩・△)では作業から離脱して、休憩や冷却を⾏います。
□ 重症(⾚・×)では直ちに作業を中⽌し、周囲が緊急対応します。

【まとめ】

危険度を「⾒える化」するカードは、誰もが使える共通の安全ツールです。
休憩所や⽔分補給の場に設置したり、スマートフォンに保存して状態を視覚的に共有することが、熱中症の予防と早期対応につながります。

※⾒える化カードのイメージ例


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