芸能現場における熱中症から人を守る基本原則|児童編

一般社団法人日本芸能従事者協会

児童は成人した大人よりも熱中症になりやすいことから、よりいっそう配慮した対策を取ることが必要です。平時から児童に対する安全対策は必要ですが、一般的に児童に特化した対策はされていないことから、保護者あるいは保護者に該当する人が児童に付き添い、児童の健康を最優先にした細やかな熱中症対策を取ることが望まれます。

その際、特別な費用がかかることが想定されるため、夏場の出演が想定される場合には、制作過程の初期段階から、出資者とよく相談して児童芸能従事者の熱中症予防に関する予算を確保するようにしてください。

厚生労働省の「個人事業者等の健康管理ガイドライン」では、日ごろからヘルスリタルシーを高めることが必要とされていますが、特に熱中症防止対策においては、以下について努めるようにしてください。

※児童に関しては一般的な実演家とは異なる配慮が必要です。具体的な法令に基づきつつ、児童の健康と安全を重視しています。必要に応じて専門家や保護者と連携しながら現場で適切に活用してください。

  • 児童(18歳未満)の保護者は、出演の現場及び稽古や宣伝活動に至る作業の発生する全てを通して、最優先で児童の健康を担保すること。
  • 平時から児童に必要とされる以下の事項に関しては、熱中症が危惧される場合において、より児童の負担となることが想定されることから、夏場においては特に配慮して取り組みをしてください。

(予防)

  • 起用する児童が雇用労働者であるか否かは、安全配慮の実施において重要な事項であるため、あらかじめ確認をすることが望ましいです。判断が困難な場合は、管轄の労働基準監督署、あるいはフリーランス・トラブル110番に相談して確認をしてください。
  • 児童は大人よりも体が小さいことから、身長に合わせた暑さ指数を計測してください。
  • 建設業では、児童及び青少年に高所である2m以上の場所での実演や作業は原則禁止しています。このような作業は心身に負担がかかることから、熱中症になる速度が早まることが恐れがあるため、原則実施しないことが望ましい。どうしても必要な時は十分な災害防止措置を取り、事故防止の方法を本人、保護者、マネージャー、各部署の制作スタッフ等、同じ場所で作業するすべての人に周知をすることが望ましいです。
  • 年齢の若い児童や幼児、乳幼児に関しては、成人の労働時間より少ない労働時間を基準としてください。

【予防】

  • 事前に、なるべく多くの関係者を対象に熱中症対策研修を開催してください。
  • 熱中症になった場合、回復に日数を要することから、学業に差し支えのないように配慮して、出演後、最低2日程度余裕をもったスケジュールを組んでください。
  • 確実に熱中症が危惧される場合は、生成AIを活用するなどの工夫をして、児童芸能従事者の起用を控えてください。

【出演時】

  • 現場の責任体制を明確化するために、安全衛生管理者を必ず配置すること。出演契約書には、あらかじめ安全衛生管理者とその所属先及び連絡先を明記することが望ましいです。
  • 児童及び青少年芸能従事者の労災保険(あるいは特別加入労災保険)は、義務とすることが望ましいです。
  • 熱中症が懸念される可能性のある現場に付き添い、そのための熱中症対策のために、必要とされる付き添いの経費(交通費、飲み物、塩分補給、涼しい休憩場所の確保のための費用等)を自己負担した場合の経費は、制作者に請求できるようにすることが望ましいです。

【対処】

  • 万一、熱中症を原因とした重篤な死傷事故が起きた場合は、速やかに管轄の労働基準監督署に報告をしてください。
  • 苦情相談窓口を設置すること。あるいは熱中症相談窓口を持った団体に加入するなどして誰もがいつでも利用できるように周知してください。

日本芸能従事者協会 熱中症相談窓口  ne-soudan@artsworkers.jp

※児童が関わる現場では、「熱中症を防ぐためのセルフチェックリスト」を用いて、保護者・制作側が事前に確認を行うことを推奨します。

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